5月中旬から松本地域では、ニセアカシヤの花粉症が始まります。約3週間ほどで終わりますが、かなり集中的に花粉が飛散しますので症状はかなり強く、患者さんはつらいようです。このニセアカシヤは多い地域と少ない地域があるようでかなり地域差があります。ニセアカシヤは、ちなみに豆科の植物です。
同じく5月に入ると、いね科の雑草花粉が始まります。カモガヤ、ホソムギ、オオアワガエリ(チモシー)などが代表的です。もともと日本には牧草として輸入されたものが多いようです。もともとヨーロッパでは、牧場で働く人の職業病といわれていたようです。このイネ科の花粉の時期はかなり長く8月ころまで続きます。
嗅覚異常には、「嗅覚が全くない」もしくは、「鈍い時とにおいはわかるが、そのもののにおいとして感じない」ときと二つの場合があります。
● 嗅覚低下、消失
嗅覚が全くない場合です。原因としては下記のものがあります。
1.嗅上皮性
嗅覚細胞が障害されている場合です。嗅覚細胞は、鼻腔の天辺にしかありません。この嗅覚細胞がなんらかで障害された場合です。
2.中枢性
中枢の嗅覚が障害された場合です。交通事故などで頭部外傷、脳血管障害などでなります。
3.混合性
上記2つが合わさった場合です。
● 異嗅覚
嗅覚としてはあるが、においが全く違うものとして感じる場合です。交通事故などの頭部外傷後に多く、治療法としては上記に準じますが困難な時もあります。原因として下記のものがあります。
1.鼻腔、副鼻腔疾患で鼻閉があるとき
2.感冒などで、嗅上皮が障害されたとき
3.頭部外傷後など
● 治療法について
1.原因治療
当然、アレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔炎などの原因がはっきりしていればその治療をします。
2.ステロイド薬の鼻腔内投与
いずれにしても、早いほうがいいです。自覚のある人は早めに相談しましょう。
人間には、味の感覚があります。味覚の4の味は、甘味、塩味、酸味および苦みです。よく辛いは味覚だという人がいますが、辛いは痛覚ですので、味覚とは関係ありません。
味覚はほとんど舌で感じますが、一部のども関係します。舌には味蕾といって、舌の表面のブツブツで感じます。舌の真ん中は小さいブツブツですが(糸上味蕾といいます)舌の左右の縁では線上です。舌の奥ではこれが大きくなって少し大きいぶつぶつ(有郭乳頭といいます)となります。味覚の障害には、次のようなものがあります。
1.味覚低下、味覚消失
味覚が鈍くなっているか、全くない状態です。原因は様々です。舌の萎縮、ビタミンや血液中の亜鉛の不足、味覚神経の麻痺などです。原因に応じた治療をしますが、かなり回復に時間のかかるときもあります。早期の方が回復が早いので、味覚の異常がでたら早く治療してください。
2.異味症
同じものを味わっても、今までとは違う味に感じるときです。はっきりした原因は分かっていません。上記の味覚低下に準じた治療をします。
● 味覚障害の原因
1.薬剤性
<薬剤の種類>
利尿剤、降圧剤、抗うつ剤、睡眠薬、抗てんかん薬、抗パーキンソン剤、抗生剤、通風治療剤など
2.特発性
原因が特定できないもの
3.亜鉛が足りないとき
4.感冒後
5.その他
● 味覚障害の治療
原因がわかればその治療、亜鉛が不足ならばその補給をします。一度、耳鼻咽喉科を受診しその原因を探す必要があります。
ちなみに亜鉛の多い食品例は・・・
牡蠣(かき)、イワシ、豚レバー、牛肉、氷豆腐、ごま、カシューナッツ、アーモンド、チーズ、ココア、抹茶などです。
口腔アレルギー症候群と花粉症 oral allergy syndrome(OAS)
花粉症の方で、新鮮な果物や野菜を食べた後に、唇やのどにかゆみや腫れがでることを、口腔アレルギー症候群(OAS)といいます。最初に、いわれたのが北欧での、白樺花粉症とリンゴのOASでした。その後、イネ科花粉症、ブタクサ花粉症、スギ花粉症でも報告されています。
● シラカバ、ハンノキ花粉症
【バラ科の果物】
リンゴ、モモ、サクランボ、ナシ、イチゴ、ビワなど
【ナッツ類】
ピーナッツ、クルミなど
● スギ、ヒノキ花粉症
トマト、メロン、リンゴ、、モモ、キウイなど
● イネ科花粉症
トマト、メロン、セロリなど
● ブタクサ、ヨモギ花粉症
メロン、セロリ、ニンジンなど
● ラテックス、フルーツ症候群
花粉症ではありませんが、医療関係者の間で問題になっているのが、手術用のゴム手袋の接触アレルギーです。
これらの方ではフルーツ、特にバナナ、アボガド、クリなどで、OASがでることがあります。
治療は、OASの原因食物を避けるのが原則ですが、抗アレルギー剤を使用しながら摂取できることもあります。
種々の花粉症でOASがでるのは、花粉と食物との間に共通抗原があるからで、シラカバ花粉症ではシラカバ花粉抗原 Bet v 1,v 2と食物抗原と関連があるためといわれています。同じ食物でも色々な花粉症ででることは、色々な花粉の間に共通成分があるためといわれています。
いろいろなときがあります。
● 実際に外耳道に耳垢が詰まっているときや、プールや入浴で水が入っているとき
このときは、これを除去すればいいです。
● 耳管狭窄症や侵出性中耳炎のとき
気圧の変化(飛行機の中や、トンネルのなかのように)や特に風邪をひいていて鼻が詰まっていたりするとなりやすいです。
簡単なときは唾液を飲み込んだり、鼻をつまんで息を吐いて耳がボワッとしてやれば(バルサルバ法といいます)治りますが、なかなか治らないときもあります。あまり強くすると急性中耳炎になることもありますので強くしすぎないでください。
高度になると侵出性中耳炎といって、鼓膜の奥の中時腔に水がたまり耳がつまり簡単には治りません。鼓膜切開や穿刺で水を抜いたり、耳管通気法で耳管に空気を通します。
● 低音障害型感音性難聴
低音部のみ選択的に障害されて、難聴をおこすと耳が詰まった感じになります。時によっては軽いめまい感を伴うこともあります。
原因ははっきりしていません。比較的治りやすいのですが、何回も繰り返す方もいます。治りやすいといっても1ヶ月以上放置すると治りにくくなりますので早めの治療が必要です。治療はステロイド剤などの内服、時によっては注射が中心になります。
耳が詰まったと感じるときでもいろいろな原因があります。
耳管狭窄症だけではなく、感音性難聴のこともありますので、疑問に思えば早期受診をお勧めいたします。
・頻回に扁桃腺を腫らして熱を出す
・扁桃腺がいつも大きいが大丈夫か
・医療機関で扁桃腺をとったほうがいいと言われた
などで悩んでいる方に、現在の扁桃腺治療についてご紹介します。
● 扁桃腺をとった方が良い時(扁桃摘出術)
1.睡眠時無呼吸症候群
夜間睡眠中に10秒以上の呼吸停止が頻回にあるときに「睡眠時無呼吸症候群」といいますが、上気道狭窄によるときが多く、特に子供で扁桃肥大が著明な時にでます。
2.習慣性扁桃炎
頻回に扁桃腺を腫らして、のどの痛み、発熱を繰り返す時です。1年に4回以上、2年以上にわたるときは手術の適応になります。
3.病巣感染症
扁桃腺に慢性炎症があって、扁桃以外の他のところに病気がでることを病巣感染症といいます。具体的には、皮膚科の疾患、掌跡膿胞症、胸肋鎖関節過形成などです。手術するかどうかは、扁桃誘発試験といって、扁桃を刺激して病巣が悪くなるかどうか確かめて決めます。
上記以外は基本的には、手術しないで治療するときが多いのですが、ケースバイケースですので、医師と相談してください。
大人で、2週間以上声がかすれて治らないときは耳鼻咽喉科を受診しましょう。重大な病気のこともあります。
声がかすれる病気 には、次のような病気があります。
1.急性喉頭炎
いわゆる風邪や、声の出しすぎでなります。出来るだけ声を使わないようにしましょう。消炎剤や抗生物質を使用します。
2.慢性喉頭炎
声の使う職業(保育士、教職員など)や趣味で声の酷使で、また喫煙などでなります。治療は急性喉頭炎に準じます。
3.声帯ポリープ
喉頭の中の声帯にポリープが出来ます。声の酷使でなります。
ポリープがある程度以上の大きさならば手術になります。手術は喉頭ファイバーや、全身麻酔下でとります。
4.喉頭ガン
喫煙者がほとんどです。現在では男性が90%を占めます。ガンの中では比較的治りやすいガンで、初期なら放射線や簡単な手術で治りますが、進めば喉頭全摘出になりますので声を失ってしまいます。
5.その他
2週間以上声がかすれて治らない時は、単なる風邪と思わないで耳鼻咽喉科受診をお勧めいたします。
● アレルギー性鼻炎について
季節で出る人と一年中ある人といます。季節のある人はいわゆる花粉症です。くしゃみ、鼻水、鼻つまり、かゆみです。松本地方では、3月になると、春のスギ花粉の時期が始まります。アレルギー性鼻炎は、いわゆるアレルギー体質の人がなりますので理想をいえば、完全にアレルギー体質を治療できればいいのですが、現在のところ不可能です。花粉症とうまく付き合う方法を考えることです。
1.花粉の始まる前・・・
松本地区では、3月始めから飛散しますから、2月中旬ころから薬を使えば楽に過ごせます。
2.症状がひどくでてから・・・
すぐ効く薬もありますが、眠くなり易いです。
● アレルギー薬の特徴
1.すぐ効くが、眠気の出やすい薬
2.眠気はほとんどないが、効くのに2週間以上時間がかかる薬
3.効き目は強いが、副作用も出やすい薬
など、それぞれ一長一短あります。うまく使うことです。
● アレルギー性鼻炎の手術
アレルギー性鼻炎で薬を使うのが嫌だったり、その他の理由で薬を使えない時には、手術もあります。
比較的簡単な通院でできるものから、入院が必要なものまであります。
1.高周波電気凝固術
通院で可能です。局所麻酔でできます。腫れた鼻腔粘膜を電気で凝固させ腫れをとります。
2.レーザー手術
通院で可能です。局所麻酔で可能です。主に炭酸ガスレーザーで腫れた鼻腔粘膜を凝固させ腫れをとります。
3.その他
入院が必要な手術もあります。
いずれの手術も比較的簡単な手術です。
アレルギー性鼻炎は薬で抑えるのもいいし、手術という選択肢もあります。
新幹線の事件以来、注目されている病気です。
耳鼻咽喉科関連の病気でもあります。
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠しているときに呼吸が一時的に止まる病気です。1回10秒以上の呼吸停止で、これが1時間に頻回におきる時に睡眠時無呼吸症候群といいます。
原因としては、中枢性、上気道性と混合型があります。
● 家族に睡眠時無呼吸症候群の心配のある方がいるとき
本人には普通、睡眠時無呼吸の感覚はありません。睡眠時に大きいいびきをかいていて、突然いびきが止まり呼吸も停止しています。しばらくすると呼吸が再開するのですが、この再開するときに非常に大きいいびきをかきます。このような方は、睡眠時無呼吸の可能性大です。
● 診断
ポリグラフという機器を装着し、睡眠中の呼吸状態やこの時の脳波、どの程度血液中の酸素濃度が低下するか計ります。
これで大体、中枢性か上気道性か判断できます。また、無呼吸の程度もわかります。
上気道性のときは、肥満の程度や、鼻、咽頭、喉頭や下顎の状態を診察します。
● 原因
1.肥満
太れば、お腹だけではなく、のども肥満状態になります。
のどは、肥満になれば狭くなりますのいびきもかきやすくなります。
2.鼻
慢性副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎などの鼻がつまる病気を持っている方。
3.咽頭、喉頭
咽頭、喉頭が狭くなるような病気の方。
代表的のものに、扁桃肥大があります。
4.下顎後退
下顎骨が比較的小さくて、後ろに位置している方。下顎が後方にあるため、咽喉頭が狭くなります。
● 治療
1.原因除去
原因があればそれを除去します。扁桃摘出、慢性副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎の治療。肥満が高度なら、減量。
2.CPAP療法
睡眠時に、マスクを装着します。機器で、強制的に圧力をかけて空気を送り込みます。そうすると十分に呼吸が可能となります。
マスクを装着するので、慣れるまで違和感があります。
睡眠が十分に取れていない状態ですので、昼間の生活にも影響があります。
家族などに指摘されて、心当たりのある方は医師に相談されること勧めます。
めまいは、色々な原因でなります。体の平衡機能を障害されると起こります。
体の動きを感じる内耳や、視覚の異常でも起こりますし、平衡感覚を統合する小脳・脳幹の異常でも起こります。
中枢の機能を十分発揮するには、心臓などの内臓機能も重要ですし、自律神経も大事です。
以下は、耳鼻咽喉科関連の代表的なめまいです。
1.メニエール病
ぐるぐるまわる回転性めまいが特徴です。
めまいとともに耳鳴り、難聴もおきます。めまいは、少なくとも30分以上続きます。
めまい発作は、繰り返すのが特徴です。
普通めまい発作が軽くなるのと同時に耳鳴り、難聴も軽くなりますが、発作を頻回に起こすと、難聴・耳鳴りが残ってしまうこともあります。薬剤で発作を抑えるのが普通ですが、難治の場合手術もあります。
ストレスを避けるなど、生活上の注意も必要です。
2.突発性難聴
名前のとおり、突然に難聴・耳鳴りが起き、かなりの場合めまいも伴います。
普通発作は一回限りです。できるだけ早く治療をしないと、難聴は回復しないこともありますので注意は必要です。
点滴注射、内服、頚部の神経ブロック酸素療法などで治療します。
3.発作性頭位性めまい
内耳で体の動きを感じる部分(前庭)にある耳石の異常です。頭を動かした時にめまいを感じます。
じっとしているときは、めまいは治まっています。
中には頻回に繰り返すこともあります。難聴・耳鳴りは伴いません。内服やリハビリなどで治療します。
4.聴神経腫瘍
聴神経にできた良性腫瘍です。内耳道から小脳にかけてできますから、症状は、難聴、めまい、耳鳴りなどです。
腫瘍ですから症状は進行性です。治療はもちろん手術が原則ですが、ガンマナイフという手段もあります。
上記以外にもめまいを起こす病気は色々ありますが、めまいは、内耳、小脳脳幹部頚部、など色々な部位からの原因で起こりますので、はっきりした原因を調べるのが重要です。
● 慢性中耳炎の話
慢性中耳炎でお困りの人は多いと思われます。もちろん、症状は難聴、耳漏、その他です。慢性中耳炎には、大きく分けて二つのタイプがあります。
1.慢性化膿性中耳炎
鼓膜に穿孔があり、難聴と耳漏を繰り返すタイプです。難聴を直すには、もちろん手術しかありませんが、耳漏さえとまっていれば、すぐに手術する必要はありません。もちろん難聴を治すには、手術が必要です。
2.真珠腫性中耳炎
中耳内に真珠腫ができ、難聴や耳漏を繰り返すタイプの中耳炎です。放置すれば、周囲が破壊されてどんどん進行していきます。原則として手術が必要な中耳炎です。
● 手術には、いろいろあります
1.鼓室形成術
中耳炎の病変と、聴力再建を同時にする手術です。中耳炎の病状によっては、1回でだめなときもあります。
2回以上の手術が必要な場合もあります。
2.中耳根治術
中耳炎の病変のみを手術して、聴力再建を考えない手術です。可能なら、上記の鼓室形成術をするのですが、どうしても出来ないときもあります。そんなときはこの手術をすることになります。